2022年5月の花は...
尾道の春は、国道184号線と栗原川とが並走する、通称桜土手という桜並木の開花で始まる。北から下ると門田町三藤歯科医院の前あたりから桜町、潮見町のなかた美術館前を過ぎ、日比崎町の日比崎小学校入口あたりまで、約1.1kmの桜並木が3月中旬から4月初旬まで桜色に染まるのだ。4月に入ると、吹く風に揺られ、桜並木を覆った花びらが桜吹雪となり、栗原川の川面に花びらをふんわりと浮かばせる。やがてあたり一面を桜色に染めながら川下に流れ行く。
そして4月下旬から5月初旬は、曹洞宗の天寧寺の庭に咲く華麗な牡丹か、となると5月の花は...と記憶を辿るがすぐには思い浮かばない。あれは街路樹の低木ツツジか、それとも庭に咲くサツキ。
そんなことを頭の中で思い巡らしながら、桜土手の川を挟んだ東側の184号線を北進し、尾道バイパスのガードをくぐり、右折しながら北の側道へ入って4~50m進む。前方には信号待ちの車が4~5台渋滞している。車をトロトロ走らせながら、ふといつも目に留めるバイパス壁面の植物ワイパー(路上観察の表現)を見ようと何気なくに見上げたところ、アッと驚いた。
生花(華道)の世界では、池坊、草月流、小原流を三大流派というようだが、吾輩の知っているのは安達流。そしてこのたび吾輩が、発見したのが……万物自然流。
薄灰色に塗られたバイパス壁面には、緑色の蔦が摩訶不思議、意識的にシンメトリーぽっく左右に伸びている。まるで空飛ぶ鳥が大きな羽根を広げたように壁にピッタリ生えている。その中心には、赤紫の花たちを飾りに、木立が下界を悠然と眺めているではないか。これはまさに流派でいうと万物自然流家元のニュー・ウエイブ作品だ。
一週間後の5月7日、再び現場に車を走らせ、吾が愛用のiphoneでパチリと記録に取り込んだ。
そして4月下旬から5月初旬は、曹洞宗の天寧寺の庭に咲く華麗な牡丹か、となると5月の花は...と記憶を辿るがすぐには思い浮かばない。あれは街路樹の低木ツツジか、それとも庭に咲くサツキ。
そんなことを頭の中で思い巡らしながら、桜土手の川を挟んだ東側の184号線を北進し、尾道バイパスのガードをくぐり、右折しながら北の側道へ入って4~50m進む。前方には信号待ちの車が4~5台渋滞している。車をトロトロ走らせながら、ふといつも目に留めるバイパス壁面の植物ワイパー(路上観察の表現)を見ようと何気なくに見上げたところ、アッと驚いた。
生花(華道)の世界では、池坊、草月流、小原流を三大流派というようだが、吾輩の知っているのは安達流。そしてこのたび吾輩が、発見したのが……万物自然流。
薄灰色に塗られたバイパス壁面には、緑色の蔦が摩訶不思議、意識的にシンメトリーぽっく左右に伸びている。まるで空飛ぶ鳥が大きな羽根を広げたように壁にピッタリ生えている。その中心には、赤紫の花たちを飾りに、木立が下界を悠然と眺めているではないか。これはまさに流派でいうと万物自然流家元のニュー・ウエイブ作品だ。
一週間後の5月7日、再び現場に車を走らせ、吾が愛用のiphoneでパチリと記録に取り込んだ。
短命のハワイ温泉が長寿の廃墟に
随分と昔の話だが、1973(昭和48)年頃、国道2号線の道輝会前のバス停から山陽本線ガードを潜ったところに、尾道のハワイ温泉が誕生した。鳥取県にある『はわい温泉』(旧称:羽合温泉)のように源泉があるわけではなく、現在の場所に鉄筋コンクリート4階建てのビルを建て、屋上にはモノレールも動いていたらしい。そのモノレール本体は朽ちて落下し、今はレールの残骸だけが見受けられる。
吾輩・路地ニャン公の飼い主による聴き取り調査によると、開業前後は、オープニングを祝う華やかな大衆芸能もあったと聞くが、なぜか1年という短命に終わったらしい。その後、今でいうラブホテルに変身したが、長続きせず、倒産してしまった。
それ以後、放置されたまま今日まで、建物だけは半世紀を超えて長寿の廃墟となろうとしている。緑の蔦がジワジワと建物を呑み込み、廃墟全体を覆い尽くせば、どんな風景が生まれるのだろう。
余談だが、この廃墟の外観全体を写真に撮ろうと、酷暑の中、車道の脇をトボトボ歩き、汗だくの撮影を終えて、ふと足元を見ると、センメント瓦に茶色に錆びたトタン屋根とトタン塀の尾道らしい古民家が一軒これまた蔦に呑まれているではないか。一呼吸して、パチリ。
あと一つ、大切なことだが、「1970年代のコンクリートは海砂を使ったものが多く、耐震性に大きな問題がある。これをそのまま放置されていると大変なリスクを抱えることになるのではないだろうか」と吾輩の飼い主が心配している。
蔦が呑み込む長寿の廃墟と古民家
ハワイ温泉の廃墟の100mくらい北側に、尾道らしいトタン屋根とトタン塀の古民家とアイビー発見!!
アイビー(蔦)といえば、近くでは倉敷のアイビースクエアやEL GRECO(エル・グレコ)と言った世に知れた建築物があるが、 尾道では廃屋にアイビーといった世界でしか、お目にかかれない。都市力、都市の文化度の違いだろうか。